労働契約で明示が必要な項目は?絶対的記載事項と相対的明示事項の違いは?最新の労働条件明示事項について解説

更新日:2024/9/9

労働基準法

フリーランスや副業など多様な働き方が広がる今日ですが、会社や個人事業主が従業員を雇用するにあたって避けられないのが労働条件の明示です。 本記事では労働条件の明示について、2024(令和6)年の法改正内容を反映した最新の労働条件の明示について解説していきます。

労働条件の明示とは

正社員・パートなどの雇用形態を問わず、使用者に雇用され労働するにあたり、「賃金はいくらか?」「休日はいつか?」などの条件を決めることとなりますが、これらの条件を総称して労働条件といいます。
労働条件をどこまで細かく決定するかは使用者(雇用主)と労働者の関係性によって左右されることが少なくありません。例えば友人の仕事を手伝うことになり、「しばらくの間は時給1,200円で、休みは都度調整」といったように、労働条件がはっきりと定まらないまま仕事がスタートするのはよくあるケースです。
このような例を見ると、使用者と労働者の双方が納得している限り、労働条件を定めて共有する範囲は当事者の合意によって判断できそうにも見えますが、実はそうではありません。
事実、労働基準法第15条第1項では次のように定められています。
「使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。」
このように定められている理由として、使用者と労働者の力関係は平等ではない、という考え方があります。
労働基準法が制定された1947(昭和22)年当時、日本では低賃金かつ長時間労働が当然の、非常に劣悪な労働条件の下での労働が強いられていました。今日と比べ労働者の立場は非常に弱く、それでも生活の糧を得るために労働せざるを得ない状況が続いていたのです。
これらの劣悪な労働環境を改善し、日本経済の再建の一端を担う制度として、それまでの工場法などをベースとして、労働基準の最低限の内容を保障する労働基準法が制定されました。
労働基準法は制定後、その時々の時代背景を反映させるための改正を経て、また労働基準法では規制しきれない部分を労働契約法、男女雇用機会均等法など別の法律で定めることで、今日の労働基準全体を規制しています。
このような背景から、労働基準の根幹となる労働条件について、明示すべき項目、その方法について労働基準法では明確に定められており、違反した場合には使用者は30万円以下の罰則が科せられます(労働基準法第120条第1項)。
次からは、労働契約の締結にあたり使用者に求められる「明示すべき労働条件」および「明示の方法」について解説します。
36協定を締結し届け出る目的は、労働基準法上違法となる時間外労働を適法に命じるためです。

法定時間外労働は違法である


労働基準法第32条では、1日及び1週間に働かせることができる時間に上限を定めています。
この上限時間のことを「法定労働時間」と言い、それぞれ次のとおりです。

<法定労働時間>
1日 :8時間
1週間:40時間

この法定労働時間を超える労働が、本記事で取り扱う36協定が必要となる時間外労働(残業)です。
一方、パートタイマーが元々設定されている労働時間を超えて時間外労働を行っても、法定労働時間の上限内の場合は「法定内時間外労働」と言い、36協定の対象ではありませんので注意が必要です。

法定労働時間はあくまで上限


法定労働時間が1日8時間、1週間40時間と聞くと、正社員は法定労働時間分みっちり働かないといけない、というイメージを持たれている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
法定労働時間はあくまで上限時間であるため、従業員に何時間働いてもらうかは会社が上限の枠内で自由に設定することができます。しかしながら、日本の多くの会社では長らく週5日、計40時間勤務が取り入れられてきているため、一番オーソドックスな正社員の働き方であるといえるでしょう。
近年ではワークライフバランス、育児・介護との両立の観点、またリモートワークや副業の普及などにより注目を増す「多様な働き方」への需要を満たすべく、「短時間正社員」など、従来の正社員とパートタイマーの間に位置するような働き方を取り入れている会社も増えてきています。

違法性を排除するのが36協定の目的


既にお伝えしたとおり、時間外労働(法定労働時間を超える労働)は労働基準法上違法とされています。
これだけを聞くと、「じゃあ自分が勤務する会社は違法行為をしているのか」と思う方もいらっしゃるかと思いますが、必ずしもそうとは限りません。
なぜなら、36協定を適切に締結し届け出ることで、一定の範囲内で法定外時間外労働が認められるからです。

労働条件の明示事項

まずは明示すべき労働条件についてです。
労働条件の明示事項は大きく次の2つに分けられます。

1.必ず明示しないといけない事項=絶対的明示事項
2.定めの有無に応じて明示しないといけない事項=相対的明示事項

絶対的明示事項

絶対的明示事項は、すべての使用者が必ず明示しなければいけない労働条件のことで、具体的には次のとおりです。

1.労働契約の期間に関する事項
2.期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準に関する事項
3.就業の場所及び従業すべき業務に関する事項
4.始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を二組以上に分けて就業させる場合における就業時点転換に関する事項
5.賃金(退職手当及び臨時に支払われる賃金等を除く。)の決定、計算及び支払いの方法、賃金の締切り及び支払の時期
6.退職に関する事項(解雇の事由を含む。)

相対的明示事項

相対的明示事項は、絶対的明示事項とは異なり必ず明示しなければいけない労働条件ではないものの、使用者がその内容について定めている場合には明示が義務付けられる労働条件のことで、具体的には次のとおりです。

1.昇給に関する事項
2.退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払いの方法並びに退職手当の支払いの時期に関する事項
3.臨時に支払われる賃金(退職手当を除く。)、賞与及びこれらに準ずる賃金並びに最低賃金額に関する事項
4.労働者に負担させるべき食費、作業用品その他に関する事項
5.安全及び衛生に関する事項
6.職業訓練に関する事項
7.災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項
8.表彰及び制裁に関する事項
9.休職に関する事項

2024(令和6)年の労働契約法改正で追加された事項

法改正により大きく以下2点について明示の義務が追加されています。

1.無期転換に関する事項
2.就業の場所及び従業すべき業務の変更の範囲

追加事項その1 無期転換に関する事項


有期労働契約(契約社員・パート・アルバイトなど期間の定めのある労働契約)の締結時・更新時に「更新上限(通算年数・更新回数)」「無期転換申込機会」「無期転換後の労働条件」の明示が必要になりました。

更新上限(通算年数・更新回数)
有期労働契約について、契約更新のための条件はこれまでも絶対的明示事項として定められていましたが、今回の改正で通算年数もしくは更新回数の明示が義務付けられました。

無期転換申込機会
無期転換とは改正労働契約法により導入された比較的新しいルールで、2013(平成25)年4月1日以降に開始した有期労働契約が5年を超えた場合、労働者の申し出により無期労働契約(期間の定めのない契約)が成立するというものです。
このたびの法改正により、今回の更新で有期労働契約か満5年を超える日を含む場合、その契約期間中に労働者から無期労働契約への転換の申し出が可能であることを明示するように義務付けられました。

無期転換申込権の発生・行使のタイミング
(引用)無期転換ルールについて|厚生労働省

なお、上記オレンジ色の期間が初めて無期転換申込権が発生するタイミングですが、労働者が無期転換を申し込まない場合、その次の更新時以降も労働者が無期転換を申し込まない限り契約更新の都度明示が必要です。

無期転換後の労働条件
先にお伝えした無期転換申込機会を明示するタイミングと併せて、無期転換後の労働条件についても明示が義務付けられました。
無期転換後の労働条件に変更がない場合は、労働契約期間の定め「なし」の他は本契約と同じ旨を表記するなどで明示します。
対して、無期転換後の労働条件に変更がある場合は、無期転換前後の労働条件を併記する、または別紙を参照するなどして明示します。

追加事項その2 就業の場所及び従業すべき業務の変更の範囲


期間の定めを問わず雇入時及び有期労働契約の更新時に、「雇入れ直後」「その後の変更範囲」それぞれに明示が必要になりました。
なお変更の範囲について、有期労働契約において義務付けられているのは、その契約期間中の変更の範囲に限られます。
そのため、契約期間が1年間の場合、この先1年間は変更の予定はないが、その後更新が続いたとすると変更の可能性があるというケースでは変更の範囲は「なし」で問題ありませんが想定できる範囲で明示するのが望ましいです。
詳しくは法改正に対応したモデル労働条件通知書をご参照ください。

(参照))モデル労働条件通知書|厚生労働省
労働者負担雇用主負担雇用保険料率
一般の事業5/10008.5/100013.5/1000
農林水産・清酒製造の事業6/10009.5/100015.5/1000
建設の事業6/100010.5/100016.5/1000

36協定書と36協定届を兼ねることもできる

先の記載例を参考に実際に記入してみると、既に解説した36協定書の内容とほぼ一緒であることがわかります。
実際にその通りで、実は36協定届そのものが36協定書で定めるべき事項を網羅しています。
36協定届に使用者・労働者代表双方が「署名」もしくは「記名・押印」することで36協定書として使用することができるので、実務上ではこの方法を採用しているのが大半です。
このように、36協定書を兼ねた36協定届を作成した場合、36協定届のみ提出の提出で事足ります。

専門家である社会保険労務士によるオーダーメイドが理想的

ここまで解説したとおり、就業規則は多くのカスタマイズの集大成であり、いわばオーダーメイドの1点モノです。
社会保険労務士が就業規則を作成するにあたっては、会社の置かれている現状、この先の事業計画、経営者のビジョンを踏まえて長期的な観点からきめ細かなカスタマイズを行います。
ここからは就業規則の作成を社会保険労務士に依頼する際に気を付けたいポイントをお伝えします。

労働条件の明示方法

労働基準法で義務付けられる労働条件の明示方法は絶対的明示事項と相対的明示事項で異なります。

絶対的明示事項:書面での交付
相対的明示事項:定めなし

このとおり、絶対的明示事項については書面での明示が義務付けられている一方で、相対的明示事項については定めがなく書面の交付を義務付けられていないため、口頭での明示でも問題ないということになります。
しかしながら、後日言った・言わなかった、といったトラブルを避けるべく、相対的明示事項についても絶対的明示事項同様に明示するのが望ましく、実務でもそうすることがほとんどです。
次に明示する際の書面について解説します。

労働条件通知書・雇用契約書

労働条件通知書と雇用契約書の両方を作成しなければならないかという質問を受けることがありますが、書類の名称にこだわる必要はなく、明示の必要な労働条件を網羅した書面(電子書面を含む)を一つ備えれば事足ります。
一方で、別々に作成するほうが運用しやすいケースとして、新卒採用者の例が挙げられます。
具体的には、総合職での一括採用において勤務地や職種は決まっていないので、決まり次第通知、もしくは入社後に辞令が出る、というケースです。
このケースでは、内定時の書面に加え、後の通知書や辞令を併せて明示すべき労働条件が具備されていれば、全体として明示すべき労働条件を書面で明示できていることになります。
このように、採用の決定から明示すべき労働条件がすべて決定するまでにタイムラグがある場合は、別に作成するほうがスムーズでしょう。
この場合、いわゆる採用通知・内定通知は応募者からの労働契約の申し込みに対する使用者の承諾の意思表示になりますので、書面の名称に関わらず内定通知の時点で労働契約が成立することに留意してください。

就業規則への明示

就業規則に網羅的に定められている内容をそのまま適用する場合、労働契約締結時の書面ではその旨を明記すれば具体的に明示せずとも明示義務を果たしたことになります。

顧問社労士の変更をする

顧問社労士の変更を検討しましょう。
例えば、同じような契約内容でも、他の社労士のほうが顧問料が安い場合で、かつ顧問料のディスカウントには応じてもらえない場合、顧問社労士を変更するしか報酬を下げる方法はありません。
また、社労士が1人の事務所でその社労士に不満がある場合、同じ事務所の別の社労士に代えてもらうことができません。
この場合は、顧問社労士を事務所ごと変更するのがよいでしょう。
顧問社労士を変更する場合には、事務作業の空白期間を作らないようにするために変更前から新しい顧問社労士を探し始め、スムーズに変更できるようにしましょう。
新しい顧問社労士を探す際には、現在依頼したい内容や自社の成長に合わせて依頼するかもしれない内容をしっかり精査し、その上で対象となる社労士を複数ピックアップし、顧問料・対応業務などを比較検討するようにしましょう。

届出方法

就業規則の届出方法には次の3つがあります。

  • 管轄の労働基準監督署に直接提出する

  • 郵送で提出する

  • 電子申請を行う


届出方法の1つ目は、管轄の労働基準監督署に直接提出する方法です。
特に、労働基準監督署に事前に連絡する必要はありません。
届出方法の2つ目は、郵送で提出する方法です。
この場合、持参と同じように2部就業規則を作成して送りますが、受付印を押印したものを返却してもらうために、郵便切手を貼った返信用封筒を同封します。
3つ目の方法として、就業規則の届出には電子申請の利用ができるようになっています。
この方法であれば、労働基準監督署の営業時間外に届け出ることができ、かつ訪問する必要や郵送のための処理をする必要がありません。
電子申請で行うためには、e-Govのアカウントを取得し、パソコン端末のインターネットブラウザの設定を行った上で、アプリケーションのダウンロードを行います。

本社が一括して届け出ることもできる

就業規則の作成・届出は事業場単位で行うこととされています。
しかし、会社の中には複数の事業場があることもあり、これら全てについて別々に届出をしなければならないとすると、会社に大きな負担を強いることになるでしょう。
そのため、就業規則の届出について、本社一括届出制度というものが用意されています。
本社一括届出制度とは、本社と本社以外の事業場の就業規則の内容が同一である場合に、本社を管轄する労働基準監督署に一括届出ができる制度のことです。
本社一括届出制度によって、複数の事業所に関する就業規則の届出義務を本社で管理することが可能となります。
本社一括届出制度によって届出をする場合には、次の書類が必要です。

  • 就業規則

  • 過半数代表者もしくは過半数労働組合の意見書

  • 届出書

  • 一括届出の対象事業場一覧表

  • 一括届出の対象事業場の意見書(事業場ごと)

  • 一括届出の対象事業場の就業規則


就業規則・過半数代表者もしくは過半数労働組合の意見書・届出書は控えの分も合わせて2部準備します。
一括届出の対象事業者一覧表には、事業場の名称・所在地・管轄の労働基準監督署・本社の就業規則と同一内容である旨を記載します。一覧表は、控えが欲しい場合は3部準備しましょう。
これらの書式についても特に法令で定めるものはありませんが、都道府県労働局などでひな形を用意していることがあるので、これらを活用しましょう。
例:様式集 (必要な様式をダウンロードしてご使用ください。)|東京労働局
本社を管轄する労働基準監督署に提出し、要件を満たしていれば、就業規則・過半数代表者もしくは過半数労働組合の意見書・届出書がそれぞれ1通と、一括届出の対象事業場一覧表が1通あるいは2通返却されます。
返却されたら、一括届出の対象事業場一覧表・意見書・就業規則を本社管轄の労働基準監督署の配送作業室に送付しましょう。
管轄が東京労働局の場合、送り先は東京労働局労働基準部 監督課内(本社管轄の労働基準監督署)労働基準監督署 就業規則配送作業室となります。
その後は、事業所がある各労働基準監督署に送付されます。
一括届出をする場合、その手続きは労働基準監督署によって手順が異なることがあるので、本社を管轄する労働基準監督署に事前に問い合わせをするようにしましょう。

追加・変更した場合にも届出義務がある

就業規則については途中で追加・変更することがあるでしょう。
例えば、テレワークに関する規定の追加や、賃金に関する評価方法や計算方法の変更が挙げられます。
労働基準法89条は、就業規則を変更した場合にも届出をすることを義務付けています。
そのため、就業規則を追加・変更したときにも、届出をしましょう。

届出がされていない場合の就業規則の効力

就業規則については上述した通り、作成・届出・周知の義務があります。
この場合に届出がされていなかったことによって、その就業規則に基づいて行われた行為の効力が問題になることがあります。
例えば、懲戒処分をする場合には、就業規則に懲戒処分に関する規定を置くことが必要です(労働基準法89条9号)。
しかし、その就業規則の届出がされていない場合に、懲戒処分は有効なのでしょうか。
この点について、届出がされずに行われた懲戒処分としての懲戒解雇の有効性が争われたフジ興産事件(最高裁平成15年10月10日第2小法廷判決)では、「就業規則が法的規範として拘束力を生ずるためには、その内容を適用を受ける事業場の労働者に周知させる手続が採られていることを要する」と判示し、就業規則を作成し周知していれば、就業規則は効力が生じるとしました。
参考:最高裁判所判例集|裁判所ホームページ
そのため、届出がされていなくても、周知がされていれば就業規則の内容に従うことができます。
もっとも届出をしなければ、労働基準監督署からの行政指導を受けるか刑事罰を科される可能性があるので、きちんと届出を行うようにしましょう。

その他

その他の事項としては、次のようなものが記載されます。

  • 教育訓練

  • 安全衛生

  • ハラスメント防止

記載の方法

なお、テレワーク・在宅勤務の就業規則を記載する場合、テレワークに関する就業規則を別途作成するか、就業規定に新たな項目を設けて作成するという方法が取られます。
テレワークモデル就業規則作成の手引きでは、分かりやすさという観点から、新たに作成することが推奨されています。
36協定に関する違反をした場合にもペナルティがあります。
上述の行政指導はもちろん、労働基準法119条1号で労働基準法36条6項に違反した場合の刑事罰も同様に定められています。
労働時間に関する会社名で報道されているものの多くが、36協定に違反しての長時間残業なので、やはり違反をしないように細心の注意が必要であるといえます。

まとめ

最新の法改正の内容を踏まえて労働条件の明示について解説しました。
法改正のタイミングで、本記事が社内の労働条件通知書などの明示事項に漏れがないか今一度確認の上、最新の明示事項を網羅できる社内書類を備える一助になれば幸いです。

過半数労働組合もしくは過半数代表の意見を聞く

就業規則を変更する場合には、作成する場合と同様に、過半数労働組合もしくは過半数代表の意見を聞くことが必要です(労働基準法90条1項)。
職場の過半数の労働者から組織される労働組合のことを過半数労働組合といい、過半数労働組合がある場合には過半数労働組合から意見を聴取します。
職場に過半数労働組合がない場合には、労働者の過半数を代表する過半数代表者を選任して、意見を聴取します。
これらの意見の聴取をしたものについては、届出の際に意見書として提出することになります。
意見書は就業規則変更届と一緒に厚生労働省のホームページからダウンロードします。

就業規則変更届を提出する

就業規則変更届を提出します。
就業規則を変更した場合には、就業規則変更届を提出することになります。
就業規則変更届については、厚生労働省のホームページから取得できます。
参考:就業規則変更届|厚生労働省 ※Wordファイルがダウンロードされます
上述した過半数労働組合・過半数代表者の意見書もこのファイルの中にあります。

ひな形を使って良いのか

インターネットで検索をすれば容易に就業規則のひな方を入手することができます。
では、このひな形を使って就業規則を作成しても良いのでしょうか。
確かに、これらを利用すれば容易に作成でき、かつ絶対的必要記載事項についても記載を失念することは無いといえるでしょう。
しかし、上述したように、就業規則には業種ごとに作成にあたっての注意点があり、これらをひな形に適切に落とし込む必要があります。
また、会社ごとにひな形に記載されている文言を変更する必要がありますが、その内容が労働基準法等の法律に違反しないようにする必要があります。
ひな形を使う場合には、自社の事情にあっているか、法律に違反していないかなど、慎重に精査しましょう。

専門家への相談の要否

就業規則の作成について、専門家に相談する必要はあるのでしょうか。
就業規則は基本的な事項であり、慎重な作成が求められます。
作成にあたっては労働関係の法律についての知識が必要であり、その内容は非常に難解です。
そのため、できれば専門家に相談しておくのが望ましいといえるでしょう。

まとめ

このページではテレワーク・在宅勤務を導入する場合に就業規則をどうすれば良いかについてご紹介しました。
テレワーク・在宅勤務にあわせた就業規則が必要であり、過半数代表の同意や変更届の手続きも必要です。
どのような就業規則であればトラブルが発生しないかわからない、という場合には必ず専門家に相談することにしましょう。

電子申請を行うメリット

労働保険の年度更新について、インターネットで申請を行う電子申請には、次のようなメリットがあります。


各種機関に直接出向く必要がない
自宅やオフィスからいつでも手続きが可能


まず、上述したように、申告書を紙で提出する場合、直接労働基準監督署などの機関に出向いて手続きをする必要があります。
電子申請の場合、直接出向く必要はありません。
また、申告書を紙で提出する場合、各種機関の窓口が稼働している時間に出向く必要があります。
しかし、電子申請であれば、自宅やオフィスから24時間いつでも行なえます。
移動時間や費用を節約することが可能といえます。

電子申請に必要なもの

労働保険の年度更新の電子申請に必要なものには次の3つがあります。


パソコン
電子証明書
e-Gov(電子政府の総合窓口)のアカウントとアプリケーションのインストール


まず、電子申請はパソコンで使用するアプリが必要となるので、パソコンが必要です。
インターネットが利用できてもスマートフォン・タブレットでは電子申請はできませんので注意が必要です。
次に、労働保険の年度更新には電子証明書が必要です。
電子証明書とは、電子申請をする際に送信する電子データが原本であること・改ざんされていないことを証明するためにつけられるものです。
電子証明書は認証局で作成しますが、e-Govを利用するにあたって動作確認がとれている電子証明書の認証局は、次のe-Govのホームページに公開されています。

参考:
認証局のご案内|e-Gov(URL:https://shinsei.e-gov.go.jp/contents/preparation/certificate/certification-authority.html

さらに、e-Govのアカウントを取得した上で、パソコンにアプリケーションをインストールする必要があります。
アプリケーションはWindows・Macどちらにも対応しています。

電子申請の手続

労働保険の年度更新を電子申請で行う場合の手続きは次の通りです。

賃金集計表を作成する


紙で行う場合と同様に賃金集計表を作成します。

e-Gov電子申請手続検索を利用して「労働保険年度更新申告」を検索する


e-Govの電子申請はとてもたくさんの種類があります。
労働保険の年度更新の手続きのページには、手続検索から「労働保険年度更新申告」と検索すると遷移することができます。

申請書入力画面に必要事項を入力


労働保険年度更新申告の申請書入力画面に必要事項を入力します。
入力したデータと電子証明書を保管します。

保管したデータを送信


保管したデータと電子証明書の送信を行います。

保険料を納付する


送信が終わると保険料の納付に必要な情報が表示されるので、保険料の納付を行います。

市販の電子申請ソフトや労務管理システムで電子申請を行うことも可能

e-Govは外部連携APIを公開しているので、これを使って申請ができる電子申請ソフトや労務管理システムが市販されています。
これらを用いて労働保険の年度更新をすることも可能です。

まとめ

このページでは労働保険の年度更新についてお伝えしました。
労働者を雇用していると手続きが必要となる労働保険は年度更新が必要で、適切に行わなければペナルティを課せられることもあります。
適切に行えるよう不明点がある場合には専門家に相談するようにしましょう。

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