【2025年度版】人事担当者がミスしない!賞与計算から賞与支払届提出までのフローと注意点
更新日:2026/01/09
労務管理
テレワークは、インターネットやパソコンなどの情報通信機器を活用し、オフィスから離れた場所(自宅、コワーキングスペースなど)で仕事をする働き方です。これは、一人ひとりのライフスタイルに合った働き方を実現するための有効な選択肢であり、特に育児、介護、治療、障害といった多様な事情を抱える従業員にとって、仕事を継続する上で重要になります。
近年、テレワークは「柔軟な働き方」として一層推進されており、2025年4月・10月施行の育児・介護休業法の改正においても、テレワークを働き方の一つとする制度導入など、活用を促す動きが見られます。
しかし、導入に際しては、「労働時間の管理が難しい」「長時間労働になりやすい」といった課題も伴います。法令を遵守し、従業員の健康を守るためには、適切な労務管理が不可欠です。
本コラムでは、中小企業の経営者様、人事担当者様が、法改正の波に乗りつつ、労務リスクを回避しながらテレワークを円滑に導入・実施するための重要ポイントを、社会保険労務士の視点から解説します。
賞与とは?社会保険料・税務上の定義を確認
賞与(ボーナス)の支給は、多くの企業にとって年に数回訪れる重要な業務であり、通常の給与とは計算方法が異なります。
賞与とは、その名称(給与、俸給、手当など)を問わず、労働の対償として支給するすべてのもののうち、年3回以下の支給のものをいいます。年4回以上支給されるものは、標準報酬月額の対象となり、賞与には該当しません。例えば、年末年始手当のような繁忙期のみの手当も、年に3回以下の支給であれば賞与と判断されることがあります。
賞与計算の基本ステップと社会保険料の計算方法
賞与計算は、主に以下の3つのステップで進めます。
- 賞与の支給額を決定する(賃金規定に基づき、業績や評価に応じて査定を行う)
- 社会保険料を計算する
- 所得税を計算する
標準賞与額とは
賞与支給時に控除する社会保険料を計算する際には、賞与支給時に控除する社会保険料を計算する際には、「標準賞与額」を使用します。
標準賞与額は、総支給額(社会保険料や税金を控除する前)から1,000円未満の端数を切り捨てた額です。 (例:賞与総支給額 525,500円の場合、標準賞与額は 525,000円)。
健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料の計算
健康保険料(介護保険料含む)と厚生年金保険料は、従業員と企業が折半して保険料を負担します。
- 健康保険料(介護保険料含む):標準賞与額に健康保険料率を掛けて計算します。賞与支払月に40歳以上65歳未満の従業員に対しては、賞与からも介護保険料を徴収する必要があります。健康保険料率・介護保険料率は、加入している健康保険の種類や都道府県によって異なります。なお、賞与における介護保険料は、40歳に到達した日の属する月から徴収が始まり、65歳に到達した日の属する月から徴収が不要になります。「到達した日」とは、誕生日の前日を指します。特に1日生まれの従業員は間違いやすいため注意が必要です。
- 厚生年金保険料:標準賞与額に厚生年金保険料率(現在は18.3%)を掛けて計算します。70歳以上の被保険者は厚生年金保険に加入する資格を失うため、厚生年金保険料の徴収は不要です。
- 雇用保険料:賞与総支給額に雇用保険料率を掛けて求めます。雇用保険料率は、通常の給与支給時と同じものが適用されます。
端数処理の注意点
事業主が賞与から被保険者負担分を控除する場合、計算結果の端数は50銭以下は切り捨て、50銭を超える場合は切り上げて処理します。ただし、端数をすべて切り捨てることが慣例である場合や労使間で特約があれば、その特約に基づき端数処理を行っても差し支えありません。
労務担当者の確認すべき実務上の最重要変更点3つ
賞与から源泉徴収する所得税率は、前月の給与の総支給額から社会保険料を差し引いた後の金額と扶養人数に応じて、「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」(国税庁)にあてはめて求めます。
- 1.「前月の給与の総支給額-社会保険料」を求める。
- 2.扶養人数と1で求めた金額を参考に、源泉徴収率を求める。
- 3.賞与の総支給額から社会保険料等を差し引いた額に、2で求めた源泉所得税率をかける。
算出した所得税に小数点以下の端数が出た場合は、1円未満の端数を切り捨てます。
また、産前休業に入った従業員に賞与を支給するときのように「前月の給与がない」場合や、欠勤が多く前月給与が少ないために賞与の総支給額が「前月給与の10倍を超える場合」は、通常とは異なる方法により所得税の計算を行わなければなりません。
退職者・休業者への賞与支給時の注意点
賞与支給時には、対象従業員の状況に応じて社会保険料の取り扱いが異なるため、特に注意が必要です。
退職予定者・退職者がいる場合
企業が賞与から社会保険料を徴収する必要があるのは、従業員の資格喪失日(退職日の翌日)が属する月の前月までです。
- 退職が月末の場合(資格喪失日が翌月1日):退職日以前に支給される賞与からは社会保険料を徴収します。
- 退職が月末以外の場合:退職月に支給される賞与からの社会保険料の徴収は不要です。
一方、雇用保険料は、退職のタイミングにかかわらず、退職予定者や賞与支払時点で退職している従業員からも徴収します。
産前産後休業・育児休業中の従業員
産前産後休業・育児休業中に賞与を支給する場合でも、社会保険料は免除の対象となります。
- 育児休業等: 賞与を支払った月の末日を含む連続した1か月を超える育児休業を取得した場合、賞与の社会保険料が免除になります。1か月を超えるかどうかは暦日で判断し、土日などの休日も期間に含みます。
- 出生時育児休業(産後パパ育休): 最大4週間(子の出生後8週間以内)の制度であるため、これ単体では社会保険料免除の対象になりません。ただし、出生時育児休業後に復職せず連続して育児休業を取得し、その休業期間の合計が1か月を超える場合、賞与の社会保険料は免除されます。
賞与支払届の手続きと提出期限
企業が賞与を支給した際に最も重要な手続きの一つが、「賞与支払届」の提出です。
- 提出義務と目的:企業は、賞与を支給したときに、支給日から5日以内に年金事務所へ提出しなければなりません。この手続きは、企業が社会保険料を算出・納付するために必要であり、従業員にとっては将来の年金額にもかかわるため、迅速かつ正確な対応が必要です。
- 届出様式:健康保険・厚生年金保険 被保険者賞与支払届/厚生年金保険 70歳以上被用者賞与支払届
- 届出期限:賞与を支給した日から5日以内
- 添付書類:原則なし
- 届出方法:郵送、電子申請、電子媒体(CD・DVD)、窓口持参
不支給の場合の注意点
賞与支払月に事業所全体のすべての役員・従業員へ賞与を支給しない場合も、届出(賞与不支給報告書)が必要です。
社会保険料の上限額
賞与支払届については、社会保険料計算時の賞与額の上限を超えていても、実際に支払った金額で届出します。なお、社会保険料がかかる賞与の上限額は、健康保険が4月1日?翌年3月31日までの累計で573万円、厚生年金保険が1か月の賞与額で150万円までと定められています。
まとめ:正確かつ迅速な賞与手続きは専門家へ
賞与計算は、「標準賞与額」の考え方や、前月の給与を基にした所得税計算、退職や休業に関する特例など、間違いやすいポイントが多く存在します。また、支給後は「賞与支払届」を5日以内に提出するという時間的な制約もあります。
正確性を期すために、人事担当者様は、以下の点を確認しておく必要があります。
貴社では、複雑な社会保険料の計算、毎年の法改正に伴う税率・料率の確認、そして厳守すべき「賞与支払届」の提出期限など、賞与業務の遂行に不安はございませんか?
日本社会保険労務士法人では、最新の保険料率や法制度に基づいた、正確かつ迅速な賞与計算および賞与支払届の作成・提出代行サービスを提供しております。
計算ミスや手続き漏れを防ぎ、労務担当者様の負担を大幅に軽減するために、ぜひ一度、当法人までお気軽にお問い合わせください。
個別相談・お問い合わせはこちらから
正確性を期すために、人事担当者様は、以下の点を確認しておく必要があります。
- 標準賞与額の正しい算出(1,000円未満切り捨て)
- 介護保険料、厚生年金保険料の徴収対象者(年齢や70歳以上であるか)の確認
- 退職者、育児休業・産前産後休業中の従業員に対する社会保険料免除の適用の判断
- 源泉所得税の計算における特殊なケースへの対応
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