【2025年12月2日完全移行】従来の健康保険証が使えなくなる前に!労務担当者が取るべき緊急対応と手続きの変更点
更新日:2025/12/05
法改正
テレワークは、インターネットやパソコンなどの情報通信機器を活用し、オフィスから離れた場所(自宅、コワーキングスペースなど)で仕事をする働き方です。これは、一人ひとりのライフスタイルに合った働き方を実現するための有効な選択肢であり、特に育児、介護、治療、障害といった多様な事情を抱える従業員にとって、仕事を継続する上で重要になります。
近年、テレワークは「柔軟な働き方」として一層推進されており、2025年4月・10月施行の育児・介護休業法の改正においても、テレワークを働き方の一つとする制度導入など、活用を促す動きが見られます。
しかし、導入に際しては、「労働時間の管理が難しい」「長時間労働になりやすい」といった課題も伴います。法令を遵守し、従業員の健康を守るためには、適切な労務管理が不可欠です。
本コラムでは、中小企業の経営者様、人事担当者様が、法改正の波に乗りつつ、労務リスクを回避しながらテレワークを円滑に導入・実施するための重要ポイントを、社会保険労務士の視点から解説します。
従来の健康保険証の有効期限と完全移行のスケジュール
健康保険証がマイナンバーカード(マイナ保険証)として利用する仕組みへの移行に伴い、従来の健康保険証の有効期限は最長で2025年12月1日までと定められています。
このため、2025年12月2日以降、従来の健康保険証は原則として使えなくなります。
本記事では、協会けんぽに加入している場合を基本として、この完全移行に際して労務担当者様が混乱なく実務を進めるために押さえておくべきポイントを整理します。
マイナ保険証を保有していない場合の代替手段
2025年12月2日以降、マイナ保険証を保有していない従業員が医療機関等を受診する際には、「資格確認書」が必要となります。
- 資格確認書:医療機関等の窓口に提示することで保険診療を受けられる証明書です。有効期限は保険者により設定されますが、最大5年間です。マイナ保険証を保有していない場合は、当分の間あいだ、申請によらず資格確認書が交付されます。
- 資格情報のお知らせ:マイナ保険証を保有する場合に、申請なく公布される者で、健康保険の希望、番号、負担割合などの個人資格情報を確認できます。ただし、「資格情報のお知らせのみでは医療機関等の受信はできませんが、マイナ保険証の読み取りができない医療機関等を受診する際などに、マイナ保険証と一緒に提示することで受信が可能です。
労務担当者の確認すべき実務上の最重要変更点3つ
従来の健康保険証の廃止に伴い、労務担当者様が行う手続きや回収業務に変更が生じています。
1.労務担当者が確認すべき実務上の最重要変更点3つ
従来の健康保険証が使えなくなることに伴い、マイナ保険証を保有していない従業員およびその被扶養者である家族に対し、協会けんぽから順次、資格確認書が送付されています。
- 企業様側には、送付対象者がいる場合、7月下旬に対象者一覧が送付されています。
- 労務担当者は、資格確認書が届いているかどうかを従業員へ確認し、受診に備えるよう周知することが求められます。
2.新規加入・扶養手続き時の変更点(新様式への対応)
新たに社会保険に加入する従業員、または新たに家族を扶養に入れる手続きをする際は、従業員本人に資格確認書が必要かどうかを確認する必要があります。
- 資格確認書が必要な場合は、被保険者資格取得届や被扶養者(異動)届の新様式に追加された「資格確認書発行要否欄」にチェックを行い、手続きを行います。
- この要否欄にチェックをしなかった人のうち、マイナ保険証を保有していない場合は、資格取得から1~2か月で資格確認書が交付されます。
3.退職時の健康保険証回収義務の変更
これまで、従業員が退職などにより被保険者でなくなった場合、労務担当者は従業員本人や被扶養者の健康保険証を回収する必要がありました。
しかし、2025年12月2日以降は、健康保険証の回収が不要となります。資格確認書や資格情報のお知らせの取り扱いについては、2025年12月2日以前と以後で特に変更はないため、従業員からの問い合わせにスムーズに対応できるよう、これらを整理しておくことが重要です。
速やかな手続きの重要性
従業員は一度マイナンバーカードを健康保険証として登録すれば転職しても再登録は不要ですが、被保険者資格の取得・喪失などの手続きが完了するまでは新しい資格情報は反映されません。この期間に医療機関等を受診した場合、一時的に従業員の自費負担が発生する可能性があります。そのため、労務担当者は、速やかに手続きを行うことが重要です。
その他、従業員への周知が必要な重要事項
電子証明書の有効期限
マイナ保険証の利用には、マイナンバーカードのICチップに記録されている電子証明書の更新が大切です。電子証明書は、発行日から5回目の誕生日までが有効期限であり、マイナンバーカード本体の有効期限とは異なります。
- 電子証明書の有効期限が切れても、すぐにマイナ保険証が利用できなくなるわけではありません。しかし、有効期限満了日が属する月の末日から3か月を経過すると、マイナ保険証は使えなくなります。
- 協会けんぽでは、電子証明書の有効期限満了日が属する月の末日から2か月を経過したときに、資格確認書が事業主経由で送付されます。
スマートフォンでのマイナ保険証利用
2025年9月19日より、対応機器の準備が整った医療機関等で、マイナ保険証をスマートフォンに追加して利用できるサービスが順次開始されています。
- スマートフォンに追加すると、医療機関等でマイナンバーカード本体を取り出す必要がなくなります。
- 留意点として、原則的に15歳未満はスマートフォンのマイナンバーカード利用はできません。
まとめ:複雑な資格管理と移行への対応は専門家へ
2025年12月2日の従来の健康保険証の廃止に伴い、労務担当者様は、資格確認書の送付確認、新規加入・退職時の手続き変更、そして従業員への電子証明書やスマートフォンの利用に関する複雑な周知を行う必要があります。
厚生労働省は、2026年3月末までは有効期限切れの健康保険証などを持参した場合でも、資格確認ができれば通常通りの自己負担分のみで受診可能とする暫定措置を取っていますが、2026年4月以降はこの暫定措置が終了します。このため、従業員の混乱を防ぐためにも、あらかじめ必要な情報を周知しておくことが推奨されます。
労務担当者は、社会保険の被保険者資格の取得・喪失手続きなどをスムーズに進めるためにも、最新の情報を整理して準備しておくことが重要です
貴社では、法改正の周知徹底や、資格確認書、新様式への対応など、従業員の医療受診に直結する重要な手続きについて、万全の体制を整えられていますでしょうか?
日本社会保険労務士法人では、マイナ保険証への移行に伴う複雑な手続き変更や、従業員への適切な情報周知、そして日常の資格取得・喪失手続きに関するサポートを提供しております。
最新の制度変更に基づいた正確な労務管理を実現し、人事担当者様の業務負担を軽減するため、ぜひ一度、当法人までお気軽にお問い合わせください。
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厚生労働省は、2026年3月末までは有効期限切れの健康保険証などを持参した場合でも、資格確認ができれば通常通りの自己負担分のみで受診可能とする暫定措置を取っていますが、2026年4月以降はこの暫定措置が終了します。このため、従業員の混乱を防ぐためにも、あらかじめ必要な情報を周知しておくことが推奨されます。
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