【社労士解説】2026年からの労働安全衛生法改正、中小企業の対応は?ストレスチェック全事業場義務化へ
更新日:2025/11/04
法改正
2025年5月に「労働安全衛生法」などが改正され、2026年1月1日から段階的に施行されることになりました。この法改正は、多様な人材が安全かつ安心して働き続けられる職場環境を整備することを目的としており、企業の規模に関わらず、すべての事業者に影響が及ぶ可能性があります。
特に、これまで努力義務だったストレスチェックが全事業場で義務化されるなど、中小企業にとっても対応が必須となる変更点が含まれています。
「何から手をつければいいのか分からない」とお悩みの経営者様、人事労務担当者様も多いのではないのでしょうか。本コラムでは、今回の法改正で特に押さえておくべき4つの重要ポイントを、専門家である社会保険労務士が分かりやすく解説します。
個人事業主やフリーランスも保護の対象に!安全衛生対策の拡大
今回の改正で最も大きな変更点の一つが、安全衛生対策の対象者が拡大されることです。これまでは企業の従業員が主な対象でしたが、今後は同じ場所で働く個人事業主やフリーランス、一人親方なども労働安全衛生法における保護の対象となります。
具体的には、以下のような措置が段階的に施行されます。
- 注文者の配慮義務の拡大(2025年5月14日施行済み):建設業に限らず、業務を委託する注文者は、安全な作業を妨げるような無理な工期・納期を設定しないよう配慮する義務が課されます。
- 元方事業者の措置義務対象の拡大(2026年4月1日施行):複数の事業者が混在する現場では、元方事業者(元請けなど)が講じるべき安全衛生措置の対象が、自社や下請けの従業員だけでなく、現場で働く個人事業主などにも拡大されます。
- 個人事業主自身の義務(2027年4月1日施行):個人事業主自身にも、安全装置のない機械の使用禁止や、危険・有害業務に関する安全衛生教育の受講などが義務付けられます。
貴社で業務委託契約を結んでいるフリーランスや個人事業主がいる場合、これまで以上に現場の安全管理体制を見直す必要があります。
【全事業場対象】ストレスチェックがいよいよ義務化へ
これまで、ストレスチェックの実施は従業員50人以上の事業場にのみ義務付けられ、50人未満の事業場では努力義務とされてきました。
しかし、今回の改正により、この努力義務が撤廃され、従業員数にかかわらずすべての事業場でストレスチェックの実施が義務化されることになりました。
施行時期は、中小企業の負担にも配慮し、公布後3年以内に政令で定める日とされていますが、準備には時間がかかります。国は現在、50人未満の事業場向けのマニュアル作成や、医師による面接指導の受け皿となる「地域産業保健センター」の体制拡充を進めています。
「ストレスチェックをどう実施すればいいのか」「高ストレス者への対応はどうするべきか」など、早めに専門家と相談しながら準備を進めることが重要です。
高齢従業員の活躍を支える!労働災害防止措置の努力義務化
近年、労働災害に遭う60歳以上の労働者の割合は増加傾向にあり、休業期間も他の世代より長くなる傾向があります。
こうした背景から、高齢者の心身の特性に配慮した作業環境の改善や、作業管理の見直しといった措置を講じることが、企業の努力義務となります(2026年4月1日施行)。
今後は、厚生労働省から具体的な指針が示される予定です。その指針に基づき、例えば「照度を確保する」「つまずきにくい床にする」「重量物の取り扱いを補助する設備を導入する」といった職場環境の改善が求められることになります。
「治療と仕事の両立」を企業が支援する時代へ
労働安全衛生法と同時に、労働施策総合推進法も改正され、病気やケガを抱える従業員の「治療と仕事の両立」を支援する措置を講じることが、企業の努力義務となります(2026年4月1日施行)。
がんや生活習慣病など、治療を続けながら働く従業員は年々増加しています。こうした従業員が安心して働き続けられるよう、企業は環境整備に取り組む必要があります。
具体的には、時間単位の休暇制度の導入、テレワークの活用、通院への配慮、業務内容の一時的な変更など、柔軟な働き方を支援する体制づくりが求められます。こちらも、今後公表される国の指針に沿った対応が必要です。
法改正への備えは社労士にご相談ください
今回の法改正は、個人事業主との関わり方から従業員のメンタルヘルスケア、高齢者や病気を抱える従業員への配慮まで、多岐にわたります。施行日はまだ先のものもありますが、社内規程の整備や新しい制度の導入には時間がかかります。
「自社では具体的に何をすべきか?」「就業規則の変更は必要か?」「助成金を活用できないか?」など、ご不明な点がございましたら、ぜひ私たち日本社会保険労務士法人にご相談ください。
貴社の状況を丁寧にお伺いし、法改正へのスムーズな対応を全力でサポートいたします。まずはお気軽にお問い合わせください。
個別相談・お問い合わせはこちらから
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