【2025年版】自然災害から従業員と会社を守る!企業が今すぐ取り組むべき対応と労災対策を徹底解説

更新日:2025/09/17

労務管理

近年、働く人々のメンタルヘルス対策の重要性がますます高まっています。特に、長時間労働や職場のハラスメントなどが原因で精神的な不調を抱える労働者が増加している状況を踏まえ、労働安全衛生法等の改正が進められています。
これまで従業員数50人以上の事業場に義務付けられていたストレスチェック制度ですが、2025年5月に改正労働安全衛生法案が可決され、今後従業員数50人未満の事業場にも義務化される見通しとなりました。これは、多くの中小企業にとって、新たな対応が求められる重要な変更点です。
本コラムでは、中小企業におけるストレスチェック義務化について、その背景や制度の概要、企業が直面しうる課題、そして今から準備すべき対応策について、提供されたソースに基づいて詳しく解説します。


なぜ今、企業の自然災害対策が重要なのか?



近年、日本全国で地震や台風などの自然災害が増加しています。このような状況下で、企業には従業員が安全かつ健康に働けるよう職場環境に配慮する「安全配慮義務」が課せられています。この義務は、自然災害発生時においても例外ではありません。
実際に、災害発生時に従業員の安全を最優先し、企業が休業を指示するケースも増えています。

本記事では、自然災害発生時の企業の具体的な対応と、被害を最小限に抑えるための事前の備えについて、網羅的に解説します。

自然災害発生!その時の判断は?



災害の発生は予測が困難なため、出勤の要否に関する判断基準を事前に定めておくことが極めて重要です。対応によっては、休業手当の支払い義務も発生します。

会社の判断で休業する場合の「休業手当」



自然災害を理由に従業員の安全確保のために企業が休業を命じた場合でも、原則として「会社都合の休業」に該当し、従業員に対して平均賃金の60%以上の休業手当を支払う必要があります。
ただし、以下の2つの要件を両方満たす「不可抗力」に該当する場合は、休業手当の支払い義務は生じません。


  • 1.原因が事業の外部で発生した事故であること

  • 2.企業が最大限の注意を尽くしても避けられない事故であること



具体的には、地震や台風で事業所の建物が倒壊したり、設備が破損したりして、物理的に事業活動が行えない状態などがこれに該当します。

従業員本人の判断で休む場合



公共交通機関の計画運休や道路の浸水など、従業員自身の判断で出勤しなかった、あるいは出勤できなかった場合は、休業手当の支払い義務はなく「欠勤扱い」となります。
従業員に負担なく休んでもらうため、企業によっては有給休暇の取得を推奨したり、就業規則に「自然災害休暇」などの特別休暇を設けたりする対応も有効です。

被災した従業員を支える「給与の非常時払い」とは?



従業員本人やその家族が被災し、急な出費が必要になるケースがあります。そのような場合に備え、法令では「給与の非常時払い」という制度が定められています。
これは、従業員から請求があった場合、給与の支払日前であっても、すでに労働した分の給与を支払う制度です。対象となる「非常時」には、出産、疾病、結婚、死亡などと並んで「災害をうけたとき」も含まれ、これには地震や台風などの自然災害も該当します。ただし、これはあくまで既労働分に対する支払いであり、給与の前借りを認めるものではありません。

【重要】事業を止めないための事前の備え



災害発生時に経営資源を守るため、事前の対策は「防災対策」と「事業継続」の2つの観点から進めることが重要です。

防災対策:従業員の安全確保と物的被害の軽減



従業員の命を守り、会社の資産への被害を減らすための基本的な対策です。

従業員の安全確保のための対策例




  • 事業所内の避難経路の確保と周知

  • ハザードマップによる周辺リスクと避難場所の確認

  • 安否確認のルール作成と緊急連絡網の整備・更新

  • 非常用品(飲料水、食料、救急セット、ラジオなど)の備蓄

  • 防災訓練の定期的な実施



物的被害の軽減のための対策例




  • 事業所の耐震化

  • オフィス家具や機械設備の転倒防止対策

  • 電気・ガス・水道などが停止した際の二次被害防止策



事業継続:災害時でも業務を続けるための対策



災害が発生しても、重要な事業を継続または早期復旧させるための計画です。BCP(事業継続計画)とも呼ばれます。

事業継続のための検討例




  • 災害時に優先して行うべき緊急性の高い業務の整理

  • テレワークなど、出勤せずに業務ができる体制の構築

  • 主要な取引先(仕入先)を複数確保しておく

  • 代替生産が可能な拠点の確保



テレワーク活用企業が見落としがちな災害時の備え



テレワークは、災害時の事業継続において非常に有効な手段です。しかし、テレワーク環境ならではのリスクも存在します。台風や落雷による停電やインターネット障害が発生すると、給与計算などの重要業務が停止してしまう恐れがあります。
このような事態を避けるため、以下の準備をおすすめします。


  • パソコン用モバイルバッテリーの貸与

  • ポケットWi-Fiやスマートフォンのテザリングなど、インターネットのバックアップ回線の確保

  • データのクラウドバックアップ

  • 複数のコミュニケーション手段(チャットツールなど)の確保



知っておくべき災害時の特別ルール



時間外・休日労働の例外措置



労働時間は原則として1日8時間・週40時間と定められており、これを超える場合は36協定の範囲内である必要があります。この原則は、災害直後であっても過重労働を防ぐために遵守しなければなりません。
ただし、例外として、ライフラインの復旧など、人命や社会全体の安全を守るために臨時で必要な場合は、労働基準監督署長の許可を得ることで、時間外労働の上限を超えて働くことが認められるケースがあります。

自然災害は労災になる?(業務災害・通勤災害)




  • 業務災害:業務中に自然災害で被災した場合、原則として業務災害とは認められません。ただし、事業所の立地条件などにより、災害を被りやすい特別な事情がある場合は認定されることもあります。

  • 通勤災害:通勤途中に被災した場合は、原則として通勤災害と認められます。しかし、会社が休業を命じているにもかかわらず、従業員の独断で出勤しようとした場合などは、私的行為とみなされ認定されない可能性があります。



労働保険料・社会保険料の納付猶予制度



災害によって保険料の納付が困難になった場合、企業からの申請により、納付の猶予を受けられる場合があります。詳細は日本年金機構や厚生労働省のウェブサイトで確認してください。

まとめ:万全な備えで、もしもの時に備えましょう


自然災害は、いつ、どこで発生するか予測できません。災害発生時に迅速かつ的確な対応をとるためには、事前の準備がすべてを決定します。また、被災した従業員のメンタルヘルスケアに対する支援体制を構築することも、企業の重要な役割の一つです。
この記事を参考に、自社の防災対策や事業継続計画を今一度見直し、従業員と会社を守るための備えを万全にしましょう。
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