顧問の社労士に不満がある?よくある不満と対処方法について解説

更新日:2024/8/26

人事業務について社内にリソースがない場合に、社外の社会保険労務士(社労士)に依頼する会社も多いでしょう。 しかし中には、依頼をしている顧問社労士に不満があるという会社もあります。 顧問社労士に不満がある会社はどんな不満を持っているのでしょうか。 また、どうやって不満を解決するのでしょうか。 本記事では、顧問の社労士への不満の種類と、その解決方法についてお伝えします。

顧問社労士への不満としてよく挙げられるもの

顧問社労士への不満としてよく挙げられるものに次のものがあります。

対応が高圧的である

顧問社労士への不満として「対応が高圧的である」というものがあります。
一定の規模の社労士事務所の社労士ともなると、難関の国家資格をパスし、難しい事務所の経営に成功し、経営者・議員・金融機関などとの付き合いも増えてくる、という状態になります。
その結果、「自分が偉い」と感じるようになり、顧客に対して上から目線で高圧的な対応をする人がいるのです。
顧問社労士とは長期間にわたって契約をするのが通常です。
一度高圧的な態度で接するようになると改善は難しく、会社側に小さな不満が蓄積することで、顧問社労士がきちんと仕事をしていても依頼の継続への不満につながってしまいます。

ミスが多いなど適当な仕事をしている

顧問社労士への不満として「ミスが多いなど適当な仕事をしている」というものがあります。
社労士に事務を依頼するのは「社会保険・労働保険などの事務を確実に行ってもらいたいから」という理由からです。
しかし、これらの事務にミスがあると、会社が損害を被るかもしれませんし、従業員にも迷惑が掛かりかねません。
金銭的な損害に関しては、顧問社労士が保険などでカバーできる可能性があります。
しかし、労働基準法などに違反したことで会社名が公表されたり、業務に欠かせない重要な従業員の離職を招いたりすると、会社の継続ができない事態に陥りかねません。
ミスが多いなど適当な仕事をしていると感じられる社労士は、継続するのはやめたほうがよいでしょう。

社会保険手続きをアウトソーシングするメリット・デメリット

社会保険手続きをアウトソーシングすることにはメリットとデメリットがあるので確認しておきましょう。

費用が高い

顧問社労士への不満として「費用が高い」というものがあります。
社労士の顧問料は、社労士が自由に決めることが可能です。
そのため、同じサービスを展開していても、社労士によって金額に差が出ることも少なくありません。
また、社労士は自分の考え方に応じて、提供するサービスの内容とこれに応じた顧問料を決めることがあります。
そのため、事務作業を中心とした内容のサービスを展開するのか、コンサルティングまで担当する手厚いサービスを展開するのかによって、費用も異なります(後者のほうが顧問料は高額となります)。
コンサルティングサービスまでは求めおらず、事務作業に関するアウトソーシングのみを利用したいにもかかわらず後者の契約をしている場合には、コストが高いと感じてしまうでしょう。
また、ミスが多かったり社労士の対応が悪かったりすれば、同じ値段のサービスでも値段が高いと感じてしまうこともあるでしょう。
労働者負担雇用主負担雇用保険料率
一般の事業5/10008.5/100013.5/1000
農林水産・清酒製造の事業6/10009.5/100015.5/1000
建設の事業6/100010.5/100016.5/1000

事務処理のみで相談に乗ってもらえない

顧問社労士への不満として「事務処理のみで相談に乗ってもらえない」というものがあります。
毎月の労務関係の処理をしてもらっている中で、経営者としての悩みなど、法律や業務範囲ではない悩みを相談したい、ということもあるでしょう。
しかし、事務処理のみを行って、相談などは全く受け付けない、という社労士もいます。
仕事をしてもらっていれば契約上は問題ないとはいえ、長く付き合うに当たっては色々なアドバイスが欲しいということもあり、不満を持つことがあるのです。

知識が乏しいため頼りにならない

顧問社労士への不満として「知識が乏しく頼りにならない」というものがあります。
社会保険労務士が関わる人事という領域は、非常に幅広い知識が必要です。
経済的情勢などに応じて補助金・助成金が出ることもあり、知らない間に申請期間を逃しているということもあります。
普段忙しい経営者は、人事に関する細かい制度についてキャッチアップをするのが難しいです。
そのため、経験のある顧問社労士であればこれらの情報をきちんと収集して、顧問先に提供していることが多いでしょう。
しかし、「自分の業務に滞りがなければそれでよい」というスタンスの社労士や、そもそも知識が不足している社労士は、依頼を受けている業務以外の知識が乏しく、こういった提案などができません。
知識が乏しいため、依頼した業務にしか対応してくれず、積極的な提案をしてくれない社労士に不満が募るということがあります。

顧問社労士に不満があるときの対応

顧問社労士に不満があるときにはどのような対応方法があるのでしょうか。

プランの変更を検討する

プランの変更を検討してみましょう。
例えば、顧問料が高いと感じているのであれば、自社には不適切なプランで依頼をしているのかもしれません。
このような場合、毎月の顧問料がより低いプランで十分なことがあり、プランの変更によって顧問料が高いという不満を解消できる可能性があります。
逆に、もっと手厚いフォローをしてほしいにもかかわらず、最低限の事務しか行わないプランに申し込んでおり、不満を抱えている場合もあります。
このような場合は、手厚いフォローをしてもらえるプランに乗り換えることで、満足いくフォローをしてもらえるかもしれません。
希望しているプランがない場合には、自社が望んでいることを伝えて、顧問契約の中身を検討してもらいましょう。

不満を素直に伝える

不満を素直に伝えてみましょう。
例えば、社労士が高圧的であると感じる場合、同じ社労士事務所に所属している他の社労士に交代してもらうことで、不満が解消することがあります。
また、事務的な対応が不満である場合には、経営者の話を聞くのが好きなタイプの社労士に交代してもらうことで不満が解消できるかもしれませんし、より手厚いコンサルティングまで受けられるコースを提案してくれるかもしれません。
専門知識が足りないと感じる社労士が担当である場合には、上司・先輩に当たる経験豊富な社労士に代わってもらえれば、不満が解消する可能性もあるでしょう。
不満を素直に伝えて、顧問社労士がその不満にきちんと向き合ってくれるかを確認することも大切です。

顧問社労士の変更をする

顧問社労士の変更を検討しましょう。
例えば、同じような契約内容でも、他の社労士のほうが顧問料が安い場合で、かつ顧問料のディスカウントには応じてもらえない場合、顧問社労士を変更するしか報酬を下げる方法はありません。
また、社労士が1人の事務所でその社労士に不満がある場合、同じ事務所の別の社労士に代えてもらうことができません。
この場合は、顧問社労士を事務所ごと変更するのがよいでしょう。
顧問社労士を変更する場合には、事務作業の空白期間を作らないようにするために変更前から新しい顧問社労士を探し始め、スムーズに変更できるようにしましょう。
新しい顧問社労士を探す際には、現在依頼したい内容や自社の成長に合わせて依頼するかもしれない内容をしっかり精査し、その上で対象となる社労士を複数ピックアップし、顧問料・対応業務などを比較検討するようにしましょう。

届出方法

就業規則の届出方法には次の3つがあります。

  • 管轄の労働基準監督署に直接提出する

  • 郵送で提出する

  • 電子申請を行う


届出方法の1つ目は、管轄の労働基準監督署に直接提出する方法です。
特に、労働基準監督署に事前に連絡する必要はありません。
届出方法の2つ目は、郵送で提出する方法です。
この場合、持参と同じように2部就業規則を作成して送りますが、受付印を押印したものを返却してもらうために、郵便切手を貼った返信用封筒を同封します。
3つ目の方法として、就業規則の届出には電子申請の利用ができるようになっています。
この方法であれば、労働基準監督署の営業時間外に届け出ることができ、かつ訪問する必要や郵送のための処理をする必要がありません。
電子申請で行うためには、e-Govのアカウントを取得し、パソコン端末のインターネットブラウザの設定を行った上で、アプリケーションのダウンロードを行います。

本社が一括して届け出ることもできる

就業規則の作成・届出は事業場単位で行うこととされています。
しかし、会社の中には複数の事業場があることもあり、これら全てについて別々に届出をしなければならないとすると、会社に大きな負担を強いることになるでしょう。
そのため、就業規則の届出について、本社一括届出制度というものが用意されています。
本社一括届出制度とは、本社と本社以外の事業場の就業規則の内容が同一である場合に、本社を管轄する労働基準監督署に一括届出ができる制度のことです。
本社一括届出制度によって、複数の事業所に関する就業規則の届出義務を本社で管理することが可能となります。
本社一括届出制度によって届出をする場合には、次の書類が必要です。

  • 就業規則

  • 過半数代表者もしくは過半数労働組合の意見書

  • 届出書

  • 一括届出の対象事業場一覧表

  • 一括届出の対象事業場の意見書(事業場ごと)

  • 一括届出の対象事業場の就業規則


就業規則・過半数代表者もしくは過半数労働組合の意見書・届出書は控えの分も合わせて2部準備します。
一括届出の対象事業者一覧表には、事業場の名称・所在地・管轄の労働基準監督署・本社の就業規則と同一内容である旨を記載します。一覧表は、控えが欲しい場合は3部準備しましょう。
これらの書式についても特に法令で定めるものはありませんが、都道府県労働局などでひな形を用意していることがあるので、これらを活用しましょう。
例:様式集 (必要な様式をダウンロードしてご使用ください。)|東京労働局
本社を管轄する労働基準監督署に提出し、要件を満たしていれば、就業規則・過半数代表者もしくは過半数労働組合の意見書・届出書がそれぞれ1通と、一括届出の対象事業場一覧表が1通あるいは2通返却されます。
返却されたら、一括届出の対象事業場一覧表・意見書・就業規則を本社管轄の労働基準監督署の配送作業室に送付しましょう。
管轄が東京労働局の場合、送り先は東京労働局労働基準部 監督課内(本社管轄の労働基準監督署)労働基準監督署 就業規則配送作業室となります。
その後は、事業所がある各労働基準監督署に送付されます。
一括届出をする場合、その手続きは労働基準監督署によって手順が異なることがあるので、本社を管轄する労働基準監督署に事前に問い合わせをするようにしましょう。

追加・変更した場合にも届出義務がある

就業規則については途中で追加・変更することがあるでしょう。
例えば、テレワークに関する規定の追加や、賃金に関する評価方法や計算方法の変更が挙げられます。
労働基準法89条は、就業規則を変更した場合にも届出をすることを義務付けています。
そのため、就業規則を追加・変更したときにも、届出をしましょう。

届出がされていない場合の就業規則の効力

就業規則については上述した通り、作成・届出・周知の義務があります。
この場合に届出がされていなかったことによって、その就業規則に基づいて行われた行為の効力が問題になることがあります。
例えば、懲戒処分をする場合には、就業規則に懲戒処分に関する規定を置くことが必要です(労働基準法89条9号)。
しかし、その就業規則の届出がされていない場合に、懲戒処分は有効なのでしょうか。
この点について、届出がされずに行われた懲戒処分としての懲戒解雇の有効性が争われたフジ興産事件(最高裁平成15年10月10日第2小法廷判決)では、「就業規則が法的規範として拘束力を生ずるためには、その内容を適用を受ける事業場の労働者に周知させる手続が採られていることを要する」と判示し、就業規則を作成し周知していれば、就業規則は効力が生じるとしました。
参考:最高裁判所判例集|裁判所ホームページ
そのため、届出がされていなくても、周知がされていれば就業規則の内容に従うことができます。
もっとも届出をしなければ、労働基準監督署からの行政指導を受けるか刑事罰を科される可能性があるので、きちんと届出を行うようにしましょう。

その他

その他の事項としては、次のようなものが記載されます。

  • 教育訓練

  • 安全衛生

  • ハラスメント防止

記載の方法

なお、テレワーク・在宅勤務の就業規則を記載する場合、テレワークに関する就業規則を別途作成するか、就業規定に新たな項目を設けて作成するという方法が取られます。
テレワークモデル就業規則作成の手引きでは、分かりやすさという観点から、新たに作成することが推奨されています。
36協定に関する違反をした場合にもペナルティがあります。
上述の行政指導はもちろん、労働基準法119条1号で労働基準法36条6項に違反した場合の刑事罰も同様に定められています。
労働時間に関する会社名で報道されているものの多くが、36協定に違反しての長時間残業なので、やはり違反をしないように細心の注意が必要であるといえます。

まとめ

本記事では、顧問社労士に不満があるときの対応方法についてお伝えしました。
顧問社労士に不満があるということはよく起こります。
自社に必要なプランを契約しているか、不満に直接対応してくれるかを検討し、それでも不満が残る場合には顧問社労士の変更を検討しましょう。

過半数労働組合もしくは過半数代表の意見を聞く

就業規則を変更する場合には、作成する場合と同様に、過半数労働組合もしくは過半数代表の意見を聞くことが必要です(労働基準法90条1項)。
職場の過半数の労働者から組織される労働組合のことを過半数労働組合といい、過半数労働組合がある場合には過半数労働組合から意見を聴取します。
職場に過半数労働組合がない場合には、労働者の過半数を代表する過半数代表者を選任して、意見を聴取します。
これらの意見の聴取をしたものについては、届出の際に意見書として提出することになります。
意見書は就業規則変更届と一緒に厚生労働省のホームページからダウンロードします。

就業規則変更届を提出する

就業規則変更届を提出します。
就業規則を変更した場合には、就業規則変更届を提出することになります。
就業規則変更届については、厚生労働省のホームページから取得できます。
参考:就業規則変更届|厚生労働省 ※Wordファイルがダウンロードされます
上述した過半数労働組合・過半数代表者の意見書もこのファイルの中にあります。

ひな形を使って良いのか

インターネットで検索をすれば容易に就業規則のひな方を入手することができます。
では、このひな形を使って就業規則を作成しても良いのでしょうか。
確かに、これらを利用すれば容易に作成でき、かつ絶対的必要記載事項についても記載を失念することは無いといえるでしょう。
しかし、上述したように、就業規則には業種ごとに作成にあたっての注意点があり、これらをひな形に適切に落とし込む必要があります。
また、会社ごとにひな形に記載されている文言を変更する必要がありますが、その内容が労働基準法等の法律に違反しないようにする必要があります。
ひな形を使う場合には、自社の事情にあっているか、法律に違反していないかなど、慎重に精査しましょう。

専門家への相談の要否

就業規則の作成について、専門家に相談する必要はあるのでしょうか。
就業規則は基本的な事項であり、慎重な作成が求められます。
作成にあたっては労働関係の法律についての知識が必要であり、その内容は非常に難解です。
そのため、できれば専門家に相談しておくのが望ましいといえるでしょう。

まとめ

このページではテレワーク・在宅勤務を導入する場合に就業規則をどうすれば良いかについてご紹介しました。
テレワーク・在宅勤務にあわせた就業規則が必要であり、過半数代表の同意や変更届の手続きも必要です。
どのような就業規則であればトラブルが発生しないかわからない、という場合には必ず専門家に相談することにしましょう。

電子申請を行うメリット

労働保険の年度更新について、インターネットで申請を行う電子申請には、次のようなメリットがあります。


各種機関に直接出向く必要がない
自宅やオフィスからいつでも手続きが可能


まず、上述したように、申告書を紙で提出する場合、直接労働基準監督署などの機関に出向いて手続きをする必要があります。
電子申請の場合、直接出向く必要はありません。
また、申告書を紙で提出する場合、各種機関の窓口が稼働している時間に出向く必要があります。
しかし、電子申請であれば、自宅やオフィスから24時間いつでも行なえます。
移動時間や費用を節約することが可能といえます。

電子申請に必要なもの

労働保険の年度更新の電子申請に必要なものには次の3つがあります。


パソコン
電子証明書
e-Gov(電子政府の総合窓口)のアカウントとアプリケーションのインストール


まず、電子申請はパソコンで使用するアプリが必要となるので、パソコンが必要です。
インターネットが利用できてもスマートフォン・タブレットでは電子申請はできませんので注意が必要です。
次に、労働保険の年度更新には電子証明書が必要です。
電子証明書とは、電子申請をする際に送信する電子データが原本であること・改ざんされていないことを証明するためにつけられるものです。
電子証明書は認証局で作成しますが、e-Govを利用するにあたって動作確認がとれている電子証明書の認証局は、次のe-Govのホームページに公開されています。

参考:
認証局のご案内|e-Gov(URL:https://shinsei.e-gov.go.jp/contents/preparation/certificate/certification-authority.html

さらに、e-Govのアカウントを取得した上で、パソコンにアプリケーションをインストールする必要があります。
アプリケーションはWindows・Macどちらにも対応しています。

電子申請の手続

労働保険の年度更新を電子申請で行う場合の手続きは次の通りです。

賃金集計表を作成する


紙で行う場合と同様に賃金集計表を作成します。

e-Gov電子申請手続検索を利用して「労働保険年度更新申告」を検索する


e-Govの電子申請はとてもたくさんの種類があります。
労働保険の年度更新の手続きのページには、手続検索から「労働保険年度更新申告」と検索すると遷移することができます。

申請書入力画面に必要事項を入力


労働保険年度更新申告の申請書入力画面に必要事項を入力します。
入力したデータと電子証明書を保管します。

保管したデータを送信


保管したデータと電子証明書の送信を行います。

保険料を納付する


送信が終わると保険料の納付に必要な情報が表示されるので、保険料の納付を行います。

市販の電子申請ソフトや労務管理システムで電子申請を行うことも可能

e-Govは外部連携APIを公開しているので、これを使って申請ができる電子申請ソフトや労務管理システムが市販されています。
これらを用いて労働保険の年度更新をすることも可能です。

まとめ

このページでは労働保険の年度更新についてお伝えしました。
労働者を雇用していると手続きが必要となる労働保険は年度更新が必要で、適切に行わなければペナルティを課せられることもあります。
適切に行えるよう不明点がある場合には専門家に相談するようにしましょう。

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